注意:架空鉄道「西伊豆鉄道」は創作物であり実在しません。

新旧デザインが混じる西伊豆線

    従来デザインと新ブランドデザイン

    西伊豆鉄道では2014年に開業50周年を迎えるにあたって、エメラルドグリーンをキーカラーとした新しいブランドデザインが設定されました。新デザインは路線図や車両の塗装、駅名標、サインシステム等に取り入れられています。

    しかし、新デザイン発表から9年(この記事は2023年に執筆)たった今も、全てが新デザインで統一されている訳ではありません。発表から2~3年は車両の新塗装化やサインシステムの更新等が進められている感じがありましたが、それ以降はほとんど更新がない状況で、車両は未だに旧塗装の車両が残っていますし、駅名標も一部駅では古いものが残っています。

    つまり現状では新旧デザインが混じったままの状態が続いているわけですが、なぜ西伊豆鉄道が新デザインに統一しないのか考えていきたいと思います。

    考えられる理由

    コスト的に更新する余裕がない

    新デザインにするコストがかけられないという理由は十分に考えられます。西伊豆鉄道は中小私鉄の中では営業成績は比較的良いほうですが、それでも余裕があるわけではなく、設備更新にかけられる費用は限られていると考えられます。

    最近では新型コロナウイルスによる旅客収入減少で、運賃の値上げも行ったような状況ですので、新デザイン化の事業に投資できず、しばらくは今のような新旧デザインが入り混じる状況が続くかもしれません。

    意図的に旧デザインを残している

    西伊豆鉄道を利用する乗客は主に2種類に分類できます。1つは西伊豆を訪れる観光客、もう1つは通勤通学等で利用する日常利用客です。

    都市部から来る観光客目線で見ると西伊豆線はローカル線です。ローカル線と言えば「レトロ」や「ノスタルジック」といったイメージを持つ方も多いのではないでしょうか。そのような観光需要のために意図的に旧デザインを残しているとうことも考えられます。

    しかし、「レトロ」や「ノスタルジック」というイメージは、沿線に住む日常利用客(通勤通学客)からみれば「遅れている」「手を抜いている」という悪いイメージとして捉えられる可能性もあります。開業時は伊豆半島西部の代表的な交通手段として優位な立場の西伊豆線でしたが、近年では並行する道路網の整備が進み、東海バスや自家用車といった競合相手を考慮せざるを得なくなりました。そのような背景の中では、現代的な新デザインを設定して、鉄道のイメージアップを図る必要もあったものと考えられます。

    つまり観光客に提供したいイメージと日常利用客に提供したいイメージが異なるから新旧デザインが入り混じっているという説です。

    まとめ

    鉄道ファンとして新旧どちらの風景も楽しめるというのは面白いです。ただ、旧デザインというのは永遠に残るものではないということは覚えておきたいものです。特に建物などの構造物は劣化したら建てなおす必要がありますし、車両も古くなって走れなくなれば新しい車両に置き換える必要があります。西伊豆線で「レトロ」や「ノスタルジック」のような雰囲気を楽しみたい方は今のうちに乗りに行くことをおすすめします。